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「川と海から」-044.横浜最古のトラス鉄橋

(西の橋→翁橋→浦舟水道橋)

 

 珍しく赤く塗られたこの橋は現存する最古のピン結合プラット・トラス方式という構造の近代橋梁で、数奇な運命をたどりながら温存されている。明治中期特有の形式で、構造材のアングルの結合部分をピンで止めたもので、かつての花園橋(明治21年)、港橋(明治26年)、豊国橋(明治30年)、蓬莱橋(明治33年)、大江橋(明治35年)などがこれであった。そのひとつ西の橋だけが関東大震災のあとに一区画短縮されて上流の翁橋として復活したが、昭和62年に首都高速道路狩場線の工事のために撤去を余儀なくされ、その文化的価値のためラッキ-にも同じ中村川のここに蘇ったのである。西の橋の移築のときこの設計者が明治16年に東京帝国大学土木工学科を卒業し神奈川県の技師になった野口嘉樹で、鉄材はイングランド・シェルトン社製造であることが調査で判明した。この種の鉄橋で現存するのは国内でも最古ではないかとも言われている。

 

 

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