葛城 峻///

「川と海から」-136.小柴地下燃料倉庫

 

　昭和12年3月、海軍は艦隊燃料や食料貯蔵庫建設のため柴町住民から長浜の土地一帯約74町歩（柴町の三分の二）を買収した。反当り山は2円30銭、田は5円。立ち木は松の25年ものが一本10銭、200年ものが一本10円だった。海軍は地下燃料タンク30基を構築したがほとんど使われることなく敗戦となり、米軍がそのままアジア作戦の基地として使った。昭和57年10月13日のここで大爆発が起こり横浜南部の人たちを恐怖に陥れた。

　先般接収解除となった丘陵跡地の活用が検討中だが、もし考古学者の調査が入れば、戦前は海軍に戦後は米軍によって殆ど自然のまま保存された地域だけに古代原始時代の遺跡が破壊されずに地下に眠っていると思われる。夏島・野島に始まる縄文遺跡の北上の「ミッシング・リンク」として横浜南部の原始古代史に新たな知見が加わるのではなかろうか。