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中華街を鏡に考える-010.

中華街の門(牌楼)

 

 中華街のランドマ-クはなんといってもこの町の四方の入口に置かれた中国風の大門(牌楼・ぱいろう)である。一番古いのが、中華街大通りの南口にある「善鄰門」で昭和30年に初めて作られた。当初はここだけだったので単に「牌楼」と呼ばれたが、次々と新門が誕生するにつれて「善鄰友好」にちなんで「善鄰門」と改称され(裏面に「親仁善鄰」の句がある)、今でも中華街のメインゲ-トになっている。ついで西門、南門、東門、北門と続いたが風雪にさらされ老朽化も甚だしくなったため平成5年に立て替えや新設が計画された。そのとき中国古来の「風水」思想が一部採用されることになった。

 「風水」思想によれば都城の東西南北には玄武(北=黒)、朱雀(南=赤)、青竜(東=青)、白虎(西=白)の四神獣が守護しているといされるが、中華街にも四方の門がこれにちなんだ色で仕上げられた。東端の青竜は「朝陽門」、西端の白虎は「延平門」の名がつけられ、関帝廟通りの東西の端に天長門、地久門、市場通りの南北入口に「市場通り門」がある。平成13年10月にJR石川町駅北口に新しい牌楼が建設されたが、西門(延平門)よりさらに西にあり西の太陽に近いという意味で「西陽門」と命名された。これで牌楼は合計10基となった。ちなみに関帝廟通り東西の天長門、地久門、は「老子」の「天地所以能長且久」を出典とする対句で、天地は永久に尽きることがないという雅語である。日本でも敗戦までは天皇誕生日を「天長節」、皇后誕生日を「地久節」と呼んでいた。

 

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