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中華街を鏡に考える-009.

ひと口に中華料理と言っても

 

 日本人はひと口に「中華料理」と言うが、大別すれば広東、北京、台湾、湖南、上海、四川、京蘇、華南、あるいはこれらの混合というように分けられるが、この町で圧倒的なのは広東料理店である。

 少し古い資料だが、275の飲食店のうち「中華」料理店は175だが、その73%にあたる128店は広東料理店で、第二位の上海系11店の6%、第三位の北京系10店の5%、第四位の四川系7店の4%をはるかに出し抜いてダントツである。中華料理の町というより「広東料理の町」と言った方があたっているのである。

 なぜ広東系が多いかと言えば前述の通り初期の横浜中華街在住の中国人が圧倒的に広東省出身者だったからで、横浜に定着するにつれて同郷の親戚友人を招致したからである。中国人の同郷人意識は強烈で、今でも中華会館と広東会館は同列だし、蓑沢の中華墓地の設立も広東人で、墓地は広東人墓地の感がある。特に広東省でも高明県、要明県、鶴山の三県は「旅日要明鶴同郷会」をつくり独自の会館も持っている。

 北京料理は中国全土の料理人が清朝皇帝の前で腕を競いあってできた宮廷料理で、味は塩をきかせニンニクもよく使う。広東料理は揚げ物が特徴で量は少ないが種類が多く、ゴマ油をよく使う。上海料理は鯉料理が有名だがここ中華街では浜松産をよく使うようである。四川料理は唐辛子の辛い味つけが特徴で、湖南料理は種類は少ないが量が多く、福建料理はス-プが代表的料理である。日本人に親しいギョ-ザは、北京・天津系が水ギョ-ザ、上海は蒸しギョ-ザ、南の方は焼きギョ-ザである。シュ-マイは広東料理の系統で、横浜の名物となったのも中華街が圧倒的に広東料理店だからである。

 

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