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中華街を鏡に考える-002-4.

二つの休日、二つの学校、二つの華僑総会

(中華街ショ-ト・ヒストリ-)

 

 前述のように中国本土における国民党と共産党の分裂、中華民国からの中華人民共和国の建国という激動の中で横浜在住中国人は激しい対立の渦に巻き込まれた。

 学校教育も「横浜中華学院」と「横浜山手中華学校」に分かれ、青年会は「横浜華僑青年会」と「横浜中華青年会」に、婦人会も「横浜自由華僑婦人会」と「横浜華僑婦女会」に、というようにワンセットで揃っている。二つの横浜華僑総会は同じまま(当初本土系は「華僑聯誼会」を称した)のだから、日本人にとってはなんとも紛らわしい。周知のように10月1日は中華人民共和国成立の「国慶節」で、10月10日は辛亥革命、すなわち中華民国誕生を記念する台湾系の「双十節」。いずれも同じように名物の獅子舞が練り歩くが、日本人の目にはその裏の政治的対立をうかがうすべもなく至極静穏に見える。それだけではない。このまちの本土系、台湾系の24団体が平成5年に「街づくり協議会」を結成し、これには二つの華僑総会も全面的にバックアップして経済は政治に優先するリアリズム

を見せてくれている。

 「小異を捨てて大同に就く」ことの難しい日本人の目としてはただただ感心するのみである。

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